ドイツ留学を決めた理由

「留学」という決断を憧れだけで決めてしまうことは,重要なリスクをないがしろにしがちだ.若い人の決断の「リスクはとってナンボ」という考え方がしばしばみられる.いわゆる「若さ」という言葉でまとめられる思考だと思う.若さを十分に生かすことはいいことだと思うが,それと同時に一歩とどまり冷静に考えることも必要だと思う.ここでは日本人がヨーロッパの大学に通う場合,育ってきた環境と衣食住の形態も大きく変わる.そのどうしようもない違いを柔軟に受け入れることで,海外生活で起こる様々な問題を減らすことができるのではないだろうか(問題なく全て順風満帆に行くはずはない.もしそう感じるなら自分の生活を疑ってみてほしい.).







それらを冷静に考えたうえで「それでも留学する」と決めた時,まずやることは大学選びになる.この投稿では自分がどのように留学先の大学を絞ったか書いてみたい.「自分はこれこれこういう理由で留学するんだ」という意思のある方にはこの記事はあんまり参考にならないかもしれないので,そういう方は娯楽として読んでいただけると幸いです.

大学を選ぶ基準

いったんドイツ留学から離れて,大学進学の理由を考えてみる.日本の大学選びでも同じだが,大学選びには様々な要因が考えられる.都会にとりあえず出たい,ある分野について習いたい先生がいる大学に行きたい,やってみたい分野が特殊でありこの大学でしかないのでこの大学のこの学科に入りたい(これぐらいの見通しが立っている人に残念ながら私は出会ったことがないが,いないわけではないはず.若くて素晴らしい人もこの世にはたくさんいる)...などなど.

極端に一般化すると「アレコレをやるための手段として,大学進学を選ぶ」のように,自らの将来を自分の手で選択したのであれば十分健全な理由だと思う.逆に健全でないと考えるものは,例えば「今の世の中,大学出てないと就ける職がねぇ...」とか「周りが大学に行くから」のように,自分の選択を優先するよりまず周りの制限から当てはめる場合かもしれない(見方によっては「要領よく生きる」という言い方もできるかもしれない).いずれにしろ,大学の進学を決めるときはその時の価値観によって様々な基準が考えられる.

ドイツ留学を決めた理由

自分の場合,ドイツ留学を決めた理由は次のようなものが代表的.

ドイツ哲学に興味がある

「哲学なんて物事に一つの解釈を与えてあーだこーだ争う学問だろ.」,「今どきドイツの哲学なんて,時代遅れすぎゃーしないか」,「んなことやったって飯にならんよ.」などなど,批判的な意見を自分自身で想像するだけでも十分列挙できますが,それでも今やりたいと思ってるんだから仕方ない(こういうところがなんか怖いもの知らずの若者っぽくて,結局自分も売れないバンドマンみたいな精神性なんだなと複雑な気持ちになってしまう...).理系科目大好きだけど,理系科目といえ根本を問い詰めると哲学の問題が顔を出してくるんですもん(科学哲学っていう分野も,もう割とメジャー?).自分のモヤモヤに真正面に向き合うために最初は科学哲学に気持ちが寄ってたんですが.そのうち科学社会学とかにも興味が沸いたりして最初の科学哲学っていう道から寄り道しちゃったんですよね・・・ で,寄り道の過程で実存主義とヴィトゲンシュタインにはまってしまって,そっからドイツの哲学やりたいって思うようになりました.日本でもある程度は勉強できるとはいえ,やはり翻訳などを通さず現地の人の視点から理解したいという気持ちがあります.ドイツの哲学やってるとあっという間に本も読み終わりますし,何しろ自分が生き生きするんですよね・・・昔の自分が見たら(というか,世間的に)キモイってワードがピッタシ.

将来ドイツで働いてみたい

「海外で働く」って,キラキラしてますよね(バカ丸出し).まぁ,ドイツで働くっていうことがどういうことなのかもよくわかっていないのにこういうこと書いちゃうってことは,なんか憧れ(ファンタジー)を持ってるってことですね.ただ,そのファンタジーがモチベーション維持に役立つのであれば,覚めないファンタジーもありかなと思います.

少しネットで調べるだけでも,ドイツの労働環境は巷での噂とは全然違うことが分かります.なぜか「定時退社」のイメージがあるドイツですが,残業普通にありますよ.しかし,今の自分の性格を考えたときに,日本の企業の社風(?)よりもヨーロッパやアメリカの労働環境が相性がいいという感じがしてきました.労働生産性だけ見ればドイツよりも良い国はありますが,そもそもドイツ哲学に興味があるってこともあるので.これはあくまでも付加的な理由なのでしょう.無理矢理説得力を持たせてみると,「少なくとも日本より労働生産性がいい環境みたいだから,自分の肌に合う」といったところでしょうか.

学費タダ(に近い)

らしい.「日本で只より高い物はない」とトルコ人が言っていたが,そんな日本人の精神からすると学費がタダというのは「どうせ裏があるんだろ」と思ってしまう.実際は学校によるようなのですが,完全にただというよりは施設管理費程度を払うところが多いようです,いずれにせよ,日本やアメリカの大学を通うよりドイツの大学はお金がかからないというのに惹かれました.なぬっ,科学哲学やるんだったら,今どきはアメリカだろって? まぁ学費がね......

一度立ち止まって,自問しよう

自分の場合は上のような理由でドイツ留学を決心しました.もちろん価値観は十人十色なので,上の理由はあくまでも程度にしかならないと思います.

でも,一つ提案ですが,これを見ている皆さんも一度「なぜドイツ留学に行こうと思ったんだろうと」立ち止まって考えてみることをお勧めします.根本をただしてみると,その根本は実は日本やほかの国でいいかもしれないのです.自分の場合,この記事を書きながら「まだなんもわかってないな,憧れっていう側面が強いんだな」と思いましたけど,これらのまだわかってない部分を明らかにする作業と留学準備は同時に行う予定です.もしかしたら自分が思っていたことは間違いかもしれないと内面では常にビクビクしているのですが,そんなに慎重になりすぎて何もしてないというわけにはいかないという考えも持っている(なんか矛盾してますね)ので,このような同時進行が今の自分には一番と思っただけです.

自分の意思で生き続けたひとも,周りに合わせながら生きてきた人も,いったん立ち留まるということはかなり精神的に疲弊することだと,自分は考えます.そして,それだけの価値があるものではないでしょうか.

このブログについて

IAtLeX です.ブログをはじめてさほど時間がたっていないので,未熟な内容が多々あるかと思いますが,それも時間が解決してくれるはず...Python系の記事を着々と充実させていきたいです.投稿主についてはこちらを参照してください.

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