海外でも使えるSIMフリー端末
-通信方式の話-

電波の種類だけ一致していれば使えるというわけでもない







前回の記事では,海外でも使えるSIMフリーの端末であるかの判定の一つとして電波の周波数帯を挙げた.しかし,これはあくまでも条件の一つとして絶対満たしていなければならないことだ.基地局と携帯端末の周波数が同じであっても,いざSIMを指してみると使えないということもあり得る.
 「端末の周波数と会社が用いている周波数が一致している」ことはSIMフリー端末を海外で使えるかどうかの判定基準の一つにしか過ぎない.実際の判定には周波数以外にも様々な要素がある.データ変調方式が同じであること,全二重化モードが同じであること,などなど難しい判定基準ががいっぱいある.実は,それらの様々な条件をすべて考慮した上で「今の時代はこういう条件の電波を使っていこう」という基準が世代ごとにあるのですが,それが「3G」や「4G」と呼ばれているものです.4GのGは「世代(Generation)」の頭文字なのです.特に今は4世代(4G)が主流なのですが,4Gの基準に適合した規格には「LTE」や「Wi-Fi」などがあり,最近は中学生でも知っているほど有名なものになりました.
 少しくどくなりましたが,「SIMフリー端末がある国で使えるか」という疑問に答える視点からまとめると,周波数帯が一致しているだけではまだ使えると確定したわけではなく,それ以外の様々な「通信規格」も本当は考えないと,使えるかどうかの判断ができないのです

すべては,ムズカシイことを意識せず便利に使ってもらうため

ここでちょっとブレイクタイム.前回の周波数帯もそうだし,データ変調方式とやらもそうだし,なんでこんなにいろんな種類作っているのでしょうか.学ぶ側としては「全部一つに決めてしまえばだれも困んないし,作る人も簡単で分かりやすいだろうに」と思ってしまう気持ちもわかります.しかし,その様にしてしまっては今の時代の多くの人が使っているように不便に使うことはできないでしょう.
 周波数の例で言いますと,様々な周波数帯を使っている理由の一つに「遠いところまで届けたいし,建物が邪魔にならないようにしたい」というのがあります.しかし電波の性質上,遠くまで届けたいとなると建物を回避して伝えることが難しくなり,建物をうまく回避して届けさせようとすると今度は遠くまで届かなくなってしまいます.どっちもいい電波というのは難しいのです.
 また携帯端末の場合,電話をするときは常に受信と送信の双方を同時に進行しなければならないのですが,ネット通信を使う際には要求された際に受信か送信かどちらかをやればよいという特徴があります.
そこで,用途に応じて周波数やデータの形などを臨機応変に変更させて使うことができるように,一つの規格だけに定めていないのです.様々な規格を組み合わせて用いているのは,色んな使用者を想定してみんなが使いやすいようにカスタマイズできるようにしたためですね.

脈略もなく極めてどうでもいいのですが,テレビのチャンネルというのは周波数帯の違いになります.

周波数帯以外の通信方式の条件がある

wikiのLTEのページに「使用技術」という項目があります.これらの技術を使用した通信方式のことを「LTE」というわけなので,LTEとなんとなく言っているものの内容はとても深いのです.この仕様技術について深入りをしてもよいのですが,それは興味のある方だけでよいでしょう.とりあえず「LTEと言っているのは,実はいろんな技術が集まったもので,その技術の結晶にLTEと名前を付けている」ということだけは理解していただきたいです.

実際問題として気にするべき問題

さて,目的はあくまでも海外で使えるSIMフリー端末を購入するでした.このために周波数帯以外で知っておくべきことは,会社の基地局が発している周波数帯にどのような通信規格を用いているか確認することです.2016年7月の時点で日本の携帯キャリアが用いている周波数帯のわかりやすい表はこちらに書いてある表になりますが,その表を見るとよく見るLTE以外にW-CDMAとかCDMA2000などが書いてあり,さらにはTD-LTEというよくわからないLTEがあります.これについて少しだけ説明します.

まずLTEという通信方式には代表的な2つの種類があります.FDD-LTE(FD-LTEともいう)とTDD-LTE(TD-LTEともいう)です.違いを簡単に述べるとFDD-LTEは受信と送信で違い周波数帯を用いて,TDD-LTEは受信と送信で同じ周波数帯を用います.初心者向けのわかりやすい記事がこちらにあったので,違いを改めて書くまでもないですが,要するにLTEにも通信方式によって通信の違いがあるということです.一般的にLTEというとFDD-LTEのことです.先ほどの周波数帯のリンク先を見ると確かにLTEとTD-LTEの二つのLTEがありますね.
 そして,W-CDMAやCDMA2000は3G規格の一種です.

実例

では,ここで実際SIMフリー端末の仕様書を見てみましょう.Zenfone Goの仕様書はこちらのリンク先になりますが,この仕様書の通信方式を見てみましょう.もう意味は明快ですね.FD-LTEで通信する周波数帯とTD-LTEで通信する周波数帯が違うのが分かります.また,この端末は3Gの通信方式であるW-CDMAも一部の周波数で提供しているのが分かります.


エイスース SIMフリースマートフォン ZenFone Go ブラック ZB551KL-BK16

ここまで来たら,あとはわたる先の国の携帯キャリアがどのような通信方式でどの周波数を持っているかさえ確認すれば,そのSIMフリー端末が海外でも思い通りに使えるか判断がつきます.

このブログについて

IAtLeX です.ブログをはじめてさほど時間がたっていないので,未熟な内容が多々あるかと思いますが,それも時間が解決してくれるはず...Python系の記事を着々と充実させていきたいです.投稿主についてはこちらを参照してください.

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