海外でも使えるSIMフリー端末
-周波数の話-

携帯の電波







携帯は電波を用いて通信している.そんな当たり前のことを書かれてもと思うかもしれないが,ここで用いている「電波」というのがどういうものなのか把握していないと,SIMフリーを使いこなすのには不安が残るのではないかと思う.なので退屈に思う人もいるかもしれないが,SIMフリーの説明に必要な範囲で電波の話をしたい.

電波の話の前に,携帯電話でつながる仕組みを簡単に

「電波が知りたい,よし,wikiに電波のページがあるぞ!これで勉強だ!」とはならない.目的を忘れてはならない(目的は書くと長いのでこちらへ).まずは焦らずに,携帯でなんでネットや電話ができるのかを誤解を恐れずものすごくラフに書いてみる.

  1. 携帯電話基地局(テレビで言う電波塔みたいなもん)と無線でやり取りをしている.
  2. 基地局同士が有線(被災地に臨時で設置する基地局などの,無線の場合もある)でやり取りをしている.
  3. ここは正確な表現ではない.もう少し具体的には,ソフトバンクさんのページにわかりやすいものがあったので,こちらにリンクを張らせていただきます.もしくは,Humming Headsさんによるこちらのページもわかりやすいのではないかと思うので,リンクを張らさせていただきます.

  4. ネットだったら,基地局がネットのページがある場所(webサーバー)まで通信をして,そのページをとってくる.
  5. 電話だったら,電話を掛けた相手の電話の近くの基地局が相手の携帯へ無線の電波を飛ばしている.

これだけでひとまず携帯の仕組みについては書くことはよそうと思う.これだけでも今後の話にあまり支障はないと思う.

電波の周波数

さて,いったん基地局に入ってからは目的によって様々な経路が考えられるため難しい話になってしまうが,それを理解する必要は今のところない.今理解するべきは,「携帯電話と基地局の無線通信がある」ということである.SIMフリー端末におけるSIMカードとの組み合わせの問題は,ここが問題になっているからである.

では,この無線通信について少し深入りしてみる.ここでやっと電波の詳しい話が出てくる.しかしそこまで身構えないでほしい.とりあえず覚えておけばいいものは一つ,「電波は波だ.だから,それを特徴付けるものとして振動数というものがある」ということだけで十分だろう.この振動数は,一秒間に「何か」が何回振動するかという数字です.「何か」が知りたいとなると電磁波だの電場だの磁場だの頭がパーになりそうなので,とりあえず振動数という数字で電波が特徴づけられると思ってください.そしてこの振動数の単位がヘルツ(Hz)になります.一秒間に100,000回振動する波は「振動数100,000Hzの波」といえます.

そして,この振動数の別名を「周波数」といいます.振動数よりは耳にするのではないのでしょうか.

もう一つ,携帯の電波の理解に必要な知識ですが,携帯が用いている電波の周波数を表すのにギガヘルツ(GHz)やメガヘルツ(MHz)を使います.英語で書いた時のGやMは日本語の「万」とか「千」みたいなのに対応するもので,2MHzは2,000,000Hz,2GHzは2,000,000,000Hzのことです.「何か」が一秒間に2,000,000,000回振動しているとなるとその「何か」が知りたくもなる気持ちはわかります.詳しく知りたい方は「電磁気学」という物理の本を手に取ってみると,詳しすぎるぐらい納得がいくようになると思います(が,なんの知識もない状態で勉強するとハードルは高いです).

周波数帯(バンド)

さっきの周波数に「帯」という文字が付きました.これの意味ですが,帯といえばなんでしょう??そうですね,幅を持っていることですね.「帯」という単語を聞いたら「幅幅幅幅幅...」となるぐらい幅を連想させますね.私を含め,そういう方は是非一度精神科の方へ行きましょう.

ともあれ,「周波数帯」というのは,「ある周波数の幅の総称」のことです.雑な例で言いますと,「100,000Hz~200,000Hz まではペペロンチーノ,200,001Hz~4000,000Hzまではヴォンゴレ,...」といった感じに,ある周波数の値の幅の電波を総称して言うためにひとまず何かしら名前を付けてあげるのです.しかし,名前を付けるのは人の自由ですよね.

パスタの例のように,電波もその様な名前がついています.その名前は,帯のことを英語でバンド(Band)というのですが,電波の通信に使う周波数帯はBand1, Band2, … と名前をつけています.どれぐらいの周波数帯がなんと呼ばれているのかの(かなりの)詳細はwikiのLTEのページに載っていますので,気になる方はどうぞ.よく見てみると,一部範囲がかぶってたりするものもあるんですよね.

wikiのページにはあまりの多くのバンド(周波数帯)が書いてあって,日本で使われていないバンドまで書いてあります.日本の各会社が使っているバンドをまとめたものは,2016年7月現在で一番よくまとまっていたものがこちらのサイトの表にありましたので,非常に参考になると思います.表に文字がいろいろ書いてありますが,とりあえず,会社と周波数帯が交差するところに文字が書いてあればそこを使っているぐらいの理解でよろしいかと思います.LTEについては電波の話と少し離れてしまうので,別のページで書きたいと思います.

端末が拾える周波数帯と挿すSIMの会社の周波数帯が一致しているか

ここまで見ればお分かりかと思いますが,会社によって基地局が発する(もしくは受け取る)電波の種類(周波数帯)は異なります.さらに,実は,携帯電話の機械の方も受け取る(もしくは発する)電波の種類は限られているのです.その詳細は製品の仕様書などに書いてあります.例えば,Zenfone Goというスマホの製品仕様書はこちらになるのですが,この通信方式の欄を見ると「2,100(1)」のように様々な数字が書かれています.これがZenfone Goが受信(発信)できる電波の周波数帯の種類で,「2,100(1)」は「2,100MHz(つまり,Band1)」ということです.


エイスース SIMフリースマートフォン ZenFone Go ブラック ZB551KL-BK16

よって,SIMフリーの端末とはいえ,機械の作り方の問題上,扱える電波の周波数に制限があるため,挿すSIMカードの会社の基地局が扱う周波数帯がSIMフリーの端末が扱える周波数帯と同じでなければもちろん通信ができないのです.これがSIMフリー携帯を利用する際に必ず注意するべき点だといえるでしょう.

それに追い打ちをかけるように,会社によっては音声電話とネット通信の周波数帯を別にしているところもあります.この場合どちらかの周波数帯に対応していない携帯機種を使うと,どちらか片方ができないというケースが実際にあります.例えば,2016年7月現在,Zenfone GoにUQ mobileの音声通話付きのSIMを入れると,ネットはできるのに電話は使えないという状況になります.

これは海外でSIMフリー携帯を利用する際も同じことが言えます.日本で買ったSIMフリー端末の扱える周波数帯が渡った先の国で使われている基地局の周波数帯と一致しない場合,そのSIMフリー端末にさして使えるようなSIMカードはその国ではそもそも売っていないでしょう.しかしこれは「SIMフリー」というのがウソだ,というわけではないのです.「確かにSIMフリー端末にはどんなSIMカードさしてもそのカードは認識するけど,そもそも基地局からの電波拾ってきてないからSIMカードが認識されたところで使えないです.」というだけのことです.

海外でも利用したいSIMフリー端末を購入するときは,端末の周波数帯に注意を

くどいかもしれないですが,大事なので最後に.もし,日本でも利用したく渡った先でも利用できるSIMフリー端末を買いたいときには,次の作業を必ずしましょう.

  1. 日本と渡る先の携帯会社について,料金プランやつながりやすさなどを基準に契約する会社を決める.
  2. それぞれの国と会社について,その会社の基地局が飛ばしている電波の周波数帯をチェックする.
  3. 共通の周波数帯があれば,その周波数帯を扱っているSIMフリー端末を探してきて,その中から好みに応じて決める.

内容もいろいろ詰めすぎたし,長くなってしまいましたが,やっと終わりです.お疲れ様です!!

と言いたいとこですが…

周波数だけ一致していてもダメ!

次の投稿に書く予定ですが,実は周波数の数字だけ見ればいいというわけではないのです.同じ周波数の中にも通信方式という違いがあるため,もう少し詳しく調べないと本当に使えるかどうか自分で判断ができません.ということで次の投稿に続きます…

このブログについて

IAtLeX です.ブログをはじめてさほど時間がたっていないので,未熟な内容が多々あるかと思いますが,それも時間が解決してくれるはず...Python系の記事を着々と充実させていきたいです.投稿主についてはこちらを参照してください.

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